「マネーフォワードもfreeeも入れているのに、なぜかうちは見積書だけエクセルで作っている」という話を、意外とよく聞きます。せっかく便利な会計ソフトを導入したのに、一番手間のかかる見積書の部分だけが、結局もとのやり方に戻ってしまう。これにはちゃんとした理由があります。

会計ソフトは「一般的な見積書」を想定している
マネーフォワードやfreeeのようなクラウド会計ソフトは、非常によくできたサービスです。多くの業種、多くの会社が同じように使えるように、見積書のフォーマットもある程度「標準化」されています。品名、数量、単価、金額を並べれば、たいていの見積書は作れます。
ただし、「たいていの見積書」で足りない業種があります。例えば内装・建設・製造のように、見積もりの中身が複雑な業種です。
- 材料をひとつひとつ積み上げて計算する
- 取引先や案件の規模によって掛け率(割引率や割増率のことです)が変わる
- 過去の似た案件の見積を流用して、一部だけ数字を調整する
- 職人が働く日数(人工と呼ばれます)を、案件ごとに積算する
こうした、会社独自の「見積の作り方」は、標準化されたフォーマットには収まりきりません。無理に当てはめようとすると、結局「備考欄に手打ちで書く」「別のシートで計算してから金額だけ転記する」といった、二度手間が発生します。それなら最初から使い慣れたエクセルで作ったほうが早い――という判断になり、見積書だけがエクセルに戻ってしまうのです。
「二重管理」になっている会社も多い
会計ソフトを導入したものの、見積だけエクセルに戻ってしまった会社では、結果として「見積はエクセル」「請求書と記帳は会計ソフト」という2つの仕組みを同時に使うことになります。これは一見、うまく住み分けができているようにも見えますが、実際には次のような手間が発生しています。
- 見積書ができたら、その内容を会計ソフト側にもう一度入力し直して請求書を作る
- 見積の数字を変更したときに、会計ソフト側の数字も忘れずに直さなければならない
- 案件の状況(見積中・受注済み・請求済みなど)を、エクセルと会計ソフトの両方で別々に管理してしまう
2つの仕組みを行き来する手間は、思っている以上に積み重なります。しかも、どちらか一方の更新を忘れると、見積と請求の数字が食い違うという、お客様との信頼にも関わる事態になりかねません。
「合わせる」のではなく「合わせてもらう」という発想
会計ソフトが悪いわけではありません。請求書の発行や、日々の記帳、税務申告の準備といった部分では、標準化されているからこそ、多くの会社が安心して使えます。
問題は、見積の部分まで同じ「標準」に合わせようとしていることです。見積の出し方は、業種や会社によって本当にバラバラです。単価表の作り方も、掛け率の考え方も、材料の積み上げ方も、その会社が長年かけて作り上げてきたやり方があります。それを無理に標準フォーマットに当てはめるのではなく、その会社のやり方に、システムのほうを合わせるという発想が必要だと私たちは考えています。
これが、私たちが見積・請求のシステムを作るときの一番の前提です。単価表も、掛け率も、材料の積み上げ方も、今のやり方をそのまま活かした形で見積書を作れるようにし、注文が決まればその見積データがそのまま請求書に変換される。会計ソフトが得意な「標準的な部分」はそのまま活かしつつ、見積という「会社ごとに違う部分」だけを、会社に合わせて作る、というイメージです。
会計ソフトと置き換えるものではありません
誤解のないようにお伝えしておくと、私たちが作るシステムは、今お使いの会計ソフトを置き換えるものではありません。日々の記帳や決算といった会計・記帳の領分は、今使っているソフトをそのまま使い続けていただくのが前提です。私たちが手を入れるのは、あくまで「見積書を作って、請求書に変換して、送るところまで」です。
請求書には、インボイス制度で定められた記載項目(発行者の登録番号、取引日、税率ごとの金額など)を満たす形で作成しますが、その処理が個々の取引において税務上正しいかどうかの最終的な判断は、私たちの領分ではありません。顧問の税理士の先生に確認いただくことを前提にしています。制度は今後も変わることがありますので、その都度の確認をお願いしています。
「見積だけはどうしてもエクセルに戻ってしまう」という状態でお困りでしたら、まずは今の見積の作り方(単価表や掛け率の考え方も含めて)を見せていただくところから始められます。今お使いの会計ソフトとどう共存させるかも含めて、無料でご相談いただける場を用意しています。お気軽にお問い合わせください。