「見積書を作る」と「請求書を作る」は、別々の仕事だと思われがちです。でも実際のところ、書いてある中身はほとんど同じです。品名、数量、単価、金額。注文が決まった見積書の中身を、そのまま請求書にも書き写しているだけ、という会社がとても多いのではないでしょうか。
同じ数字を、2回、手で入力する。これが積み重なると、見えないところで時間とミスを生んでいます。今日は、この「二重作成」について整理します。

なぜ二重に作ることになるのか
理由はシンプルで、見積書と請求書が別々の場所(別のエクセルファイル、別のソフト、あるいは紙)で作られているからです。見積を作るときのフォーマットと、請求書を作るときのフォーマットが違えば、コピー&ペーストすらできず、1件ずつ目で見ながら手で打ち直すしかありません。
案件数が少ないうちは、それでも大きな問題にはなりません。ただ、月に何十件、何百件と見積・請求が発生する会社では、この転記作業だけで担当者の時間がかなり取られます。しかも、その時間は売上を生みません。「作業のための作業」になってしまっているのです。
二重作成で起きること
転記ミス
同じ数字を2回入力すれば、間違える機会も2回になります。品目を書き漏らす、数量を打ち間違える、単価の桁がずれる。1件のミスは小さくても、それに気づかず送ってしまえば、後から「請求書の金額が違う」と連絡が来ることになります。訂正のやり取りは、お客様にとっても、自社にとっても、余計な手間です。
見積と請求の食い違い
見積書の内容を直接コピーしていない場合、記憶を頼りに請求書を作ることもあります。そうすると、見積の時点と請求の時点で、数字が微妙にずれてしまうことがあります。お客様からすれば「最初に聞いていた金額と違う」という印象になりかねません。
単純に、時間がかかる
これが一番わかりやすい損失です。同じ内容をもう一度入力する時間は、本来は他の仕事に使えたはずの時間です。件数が多い会社ほど、この積み重なりは大きくなります。
よくある1日の流れ
もう少し具体的にイメージしてみます。午前中に現場を回り、午後にエクセルで見積書を作成。お客様に送って、後日「注文します」と返事が来る。ここでもう一度、請求書用のフォーマットを開き、品名・数量・単価を1つずつ見積書と見比べながら入力し直す。金額の合計が見積書と一致しているか、念のため電卓で検算する。
この一連の流れの中で、実際に手を動かしている時間のうち、どれくらいが「新しく考える」時間で、どれくらいが「すでにある数字を、もう一度打ち込むだけ」の時間でしょうか。多くの場合、後者のほうが長いのではないかと思います。「もう一度打ち込むだけ」の時間は、正確さは求められる一方で、新しい価値を生んではいません。
二重作成が続くと起きること
件数が少ないうちは気になりませんが、月に数十件、数百件と案件が増えると、この転記作業だけで担当者の1日のかなりの時間が埋まってしまうことがあります。忙しい時期ほど、急いで入力するためにミスも起きやすくなります。そして、ミスが起きた請求書を後から訂正する作業は、最初から丁寧に作るよりもさらに時間がかかることが少なくありません。「急いで作ったのに、結局やり直しで余計に時間がかかった」という状態は、避けられるなら避けたいものです。
本来、見積書と請求書は「同じデータ」でいい
見積書と請求書は、突き詰めれば「同じ取引の、2つの段階のスナップショット」です。見積の内容がそのまま注文になり、注文がそのまま請求になる。だとすれば、最初に見積を作ったときのデータを、そのまま請求書に流用できれば、二重に入力する必要はなくなります。
これが、私たちが作っている見積・請求のシステムの一番の中心にある考え方です。**見積書を作ったときのデータが、注文が決まった時点でそのまま請求書に変換される。**品名も、数量も、単価も、もう一度打ち直す必要がありません。転記ミスは、そもそも転記という作業自体が無くなることで減らせます。
もちろん、これはただの自動計算ツールではありません。会社ごとに違う単価表や掛け率、材料の積み上げ方といった、今のやり方をそのまま踏襲した上で、見積から請求までを一本の流れにする、という設計です。ソフトの決まったフォーマットに会社が合わせるのではなく、会社のやり方にシステムを合わせます。
請求書には守るべきルールもあります
請求書には、インボイス制度で定められた記載項目(登録番号、取引の日付、税率ごとの金額など)があります。この記載要件を満たす形で請求書を作ることは、システムとして当然対応しますが、制度の細かい解釈や、個別の取引がどう扱われるべきかといった税務上の判断は、私たちの領分ではありません。必ず顧問の税理士の先生にご確認いただく前提で進めています。
「見積書と請求書、結局2回作っている」という状態に心当たりがあれば、まずは今どのくらいの時間がこの転記作業にかかっているか、一度整理してみることをお勧めします。件数×時間を出してみると、意外な数字が見えてくることがあります。そのうえで、どこを自動化できそうか、無料でお話を伺う場を用意しています。ご興味があれば、お気軽にご相談ください。